2018年8月12日(日)
札幌競馬11レース
第23回 エルムステークス(G3)
札幌ダ1700m
《エルムステークス2018/レース展望》
函館開催と共に始まるダート1700mのオープンレース3連戦である大沼ステークス→マリーンステークスの最終戦を飾るのがこのエルムステークスで、個人的には『北海道ダート三冠』と呼んでいます。昨年は古川騎手に乗り替わって覚醒したテイエムジンソクが2戦目までをワンサイドゲームの圧勝で連勝しここへ臨んできましたが、必要以上に相手を待ち過ぎた結果直線では逃げたドリームキラリを競り落とすのに一苦労し、ようやく交わしたところをロンドンタウンに並ぶ間もなく差し切られる不完全燃焼の2着となり惜しくも三冠を逃してしまいました。ただ、その後チャンピオンズカップを正攻法の強い内容で現ダート王者ゴールドドリーム相手にクビ差2着したことからも同馬の能力がGⅠ級であるのは疑いようがなく、そういった高い能力の持ち主でも展開一つで負けてしまうのが小回りのローカル開催で行われる重賞の『怖さ』と言えそうですね。過去の勝ち馬を見ても明け8歳で迎えた今年のフェブラリーステークスでも僅差3着に好走し、他にも数々のGⅠ(JpnⅠ)で好走歴があるインカンテーションが14年10人気3着、さらに13年にフェブラリーステークスを勝利しているグレープブランデーも15年5人気2着に負けていることから過去の実績がそれほどアテにならず、だからと言ってこのレースを勝った馬がその後出世しているかというとそこも微妙な点があることからも、『線』として今後に繋がるレースではなくあくまで北海道開催のダート最強馬を決める『点』のレースであることは頭に入れておきたいところですね。
今年も大沼ステークス、マリーンステークスで好走したユラノト、ハイランドピーク、リーゼントロック、ヨシオといった『ホーム勢』に対して、昨年のエルムステークスで1、3着と実績を残しているロンドンタウンとドリームキラリ、さらには地方交流重賞で実績を残しているミツバなど『アウェイ勢』が出走を予定しており、出走馬のレベルは微妙かもしれませんが馬券的にはなかなか面白いメンバーが揃ったと言えそうだけに、しっかり適性を考慮した上で予想に臨みたいところですね。
《エルムステークス2018/予想オッズ》
①人気 ハイランドピーク 3.2倍
②人気 ミツバ 3.3倍
③人気 ロンドンタウン 4.9倍
④人気 ドリームキラリ 6.7倍
⑤人気 リッカルド 7.5倍
《エルムステークス2018/出走予定馬分析》
🐎 ドリームキラリ(牡6)
騎手:藤岡佑 調教師:矢作(栗東)
主な勝鞍:欅ステークス(OP)
ポルックスステークス(OP)
エルムステークス(GⅢ)3着
前走のプロキオンステークスでは勝ったマテラスカイが芝並みのレコードタイムで逃げ切った超ハイペースで先手を奪い切れずに0.9差の6着に敗退しましたが、本質的に1400mは短いことに加えて激しい先行争いに巻き込まれながら直線大きく失速しなかったのは同馬の地力の高さと見ていいでしょう。2走前の同じ1400m戦の欅ステークスではフェブラリーステークス4着サンライズノヴァを完封して勝利しており、前半楽に先行できれば簡単に止まらないのは大きな武器だと思います。昨年の同レースでは淀みない流れで逃げながら後にチャンピオンズカップ2着するテイエムジンソク(2着)と同タイム3着に好走しており、今年のメンバー構成であれば能力上位なのは間違いないでしょう。同コースでも1勝3着2回と複勝率100%をキープしておりコース適性を証明済みなのも大きなプラスで、スムーズなら確実に勝ち負けに加わってくるのではないでしょうか。
🐎 ハイランドピーク(牡4)
騎手:横山和 調教師:土田(美浦)
主な勝鞍:灘ステークス(1600万)
上総ステークス(1600万)
マリーンステークス(OP)2着
圧倒的1番人気で迎えたマーチステークスではスタートで出遅れて直線も前が詰まる不完全燃焼の内容で9着と人気を裏切ってしまいましたが、降級初戦の灘ステークスでは中団に控える競馬で完勝し、前走のマリーンステークスでは一転してハイペースで流れる中を向こう正面で先頭に立つ積極的な競馬で2着に粘り通し、これまで逃げ一辺倒だった内容から自在性が出てきたのは同馬の成長の証明だと思います。小回りのダート1700mで前掛かりの流れになりやすいのに対して2走前に控える競馬で結果を残したのは大きなプラスと言えそうで、まだ4歳だけに成長力を大きく残しているのも他馬に比べて有利だと思います。芝のデビュー戦と出遅れたマーチステークス以外全て4着以内に好走している安定感も魅力で、初コースとなる札幌ダートと今回一気に強くなる相手関係を克服さえできればアッサリの勝利があっても不思議ない存在だと思います。
🐎 ミツバ(牡6)
騎手:松山 調教師:加用(栗東)
主な勝鞍:マーキュリーカップ(JpnⅢ)
ブリリアントステークス(OP)
ベテルギウスステークス(OP)
前年は先行集団の一番後ろから直線大外を通って長くいい脚を使い、ゴール前内を掬って伸びたピオネロとの叩き合いを制して重賞初制覇を飾り、連覇を狙って出走した今年のマーキュリーカップでは同じようなポジションから4コーナー手前で早くも2番手に上がる積極的な競馬を見せ、直線半ばで余裕を持って逃げたヨシオを捉える完勝で史上初のマーキュリーカップ連覇を達成しました。全8勝中5勝を2000m以上で上げているように非常にスタミナ豊富で、今年のアンタレスステークスで見せたように道中一気のマクリから最後までしぶとく伸びる持続的な末脚は同馬の最大の武器と言えるでしょう。また昨年はダート中距離王道路線を走っており、ゴールドドリームやコパノリッキー、サウンドトゥルーといった一線級の相手に揉まれてきた能力の高さは今回のメンバーにおいては確実にトップクラスと言っていいと思います。本質的に中距離型だけに今回は15年9月以来の1700m戦となることから追走面で苦労する可能性があるのは不安点と言えるかもしれませんが、前が激しく競り合ってスタミナ勝負になるようであれば確実に後方から伸びてくるのは間違いないと思います。
🐎 ロンドンタウン(牡5)
騎手:蛯名 調教師:牧田(栗東)
主な勝鞍:エルムステークス(GⅢ)
コリアカップ(韓GⅠ)
佐賀記念(JpnⅢ)
昨年のエルムステークスでは終始好位のインを手応え十分に追走して前を行くテイエムジンソクとドリームキラリを見る形となり、直線半ばで外に出すとそこから一瞬の脚で並ぶ間もなく2頭を差し切って重賞初制覇を飾り、初の海外遠征となったコリアカップでも古馬中距離路線の強豪クリソライトを楽に交わして直線突き放す圧勝でGⅠ初制覇を飾りました。その後の国内GⅠ3戦では結果を残せなかったものの、マーチステークスでは0.5差6着、アンタレスステークスでも落鉄しながら勝ち馬から0.7差6着に粘っており、使いつつ徐々に復調傾向にあるのは間違いないと思います。1700m戦は2勝2着1回で連対率100%と得意にしており、8~10月の気温の高い時期はデビュー戦を除けば4戦4勝と『夏馬』の傾向が強いのも酷暑と言われる今年の夏において同馬にはプラスに働くのではないでしょうか。今回休み明けとなるため仕上がり状態が好走への大きなカギとなりそうですが、極端な重め残りさえなければ連覇達成の可能性は十分考えられると思います。
《出走予定馬から見る本命馬》
紹介文冒頭「」にて公開中!
(16位くらい)
前走のアンタレスステークスではスタートから積極的に出していって先行集団の外目に付けましたが外から動いていったグレイトパールに合わせて他馬も押し上げていったことでポジションが下がる形となり、直線ジリジリと脚を伸ばしましたが最後は前を行く馬と脚色が一緒になってしまっての勝ち馬から0.7差6着でした。ただ、マクリ気味に動いていった馬が上位を占める中で先行して粘った内容は及第点と言ってよさそうで、少しずつではありますが確実に復調傾向にあるのは間違いないと見ていいでしょう。今回4か月ぶりの休み明けとなりますが昨年のエルムステークスも3か月ぶりで制しているようにいきなりでも動けるタイプで、早めに函館入りして順調に調教を積んでいることから好状態で臨める可能性が高いのも好印象と言えるでしょう。先行馬が多く揃っており脚質的に自在性のある同馬にとってはペースも向きそうで、ここで復活の勝利を飾る可能性は十分あると信じて本命に推したいと思います。