2018年2月11日(祝) 東京競馬11レース
第52回 共同通信杯(GⅢ) 東京芝1800m
《共同通信杯2018 レース展望》
10年くらいまでは共同通信杯から弥生賞、もしくはスプリングSを使って本番皐月賞に向かう馬が多かったですが、同レース勝利からぶっつけで皐月賞を制した12年ゴールドシップを筆頭に、14年イスラボニータ(共同通信杯1着→皐月賞1着)、15年ドゥラメンテ(共同通信杯2着→皐月賞1着)、そして16年ディーマジェスティ(共同通信杯1着→皐月賞1着)と近年は共同通信杯から皐月賞直行がクラシック路線のトレンドとなっている印象があります。昨年の勝ち馬スワーヴリチャードも同様のローテーションで皐月賞に直行し6着だったものの日本ダービーでは2着に巻き返し、他にも12年2着ディープブリランテが皐月賞3着→日本ダービー1着、15年1着リアルスティールが皐月賞2着、菊花賞2着と近年好走馬のその後の活躍は目を見張るものがあり、弥生賞やスプリングSといった正規のトライアルレースを押しのけて、クラシックに向けての最重要ステップレースとなったと言ってもいいかもしれません。今後もこの傾向は続いていきそうなだけに、勝ち馬だけでなく2着以下でも光る素質を見せた馬はクラシック本番でも高評価する必要がありそうですね。今年も昨年GⅠに昇格したホープフルSの初代勝ち馬に輝いたタイムフライヤーをキャリア1戦ながら差し切って京都2歳Sを制したグレイルを筆頭に、同じくキャリア1戦でホープフルS3着に好走したステイフーリッシュ、さらに で強い勝ち方を見せて未知の魅力たっぷりのゴーフォザサミットなど素質豊かな好メンバーが揃っただけに、ハイレベルで本番が楽しみになるような好レースを期待したいと思います。
《共同通信杯2018 予想オッズ》
①人気 グレイル 1.7倍
②人気 ステイフーリッシュ 6.3倍
③人気 サトノソルタス 7.0倍
④人気 ゴーフォザサミット 7.9倍
⑤人気 カフジバンガード 8.9倍
⑥人気 ブレステイキング 12.4倍
⑦人気 オウケンムーン 22.5倍
⑧人気 フィフニティ 38.2倍
⑨人気 アメリカンワールド 43.2倍
⑩人気 ブラゾンダムール 59.4倍
《共同通信杯2018 出走予定馬分析》
① グレイル(牡3)
騎手:武豊 調教師:野中(栗東)
主な勝鞍:京都2歳S(GⅢ)
歴史的な極悪馬場となった菊花賞当日に行われた新馬戦で不良馬場を物ともせずに2番手追走から早めに抜け出した2着馬との叩き合いを制してデビュー勝ちを飾ると、続く京都2歳Sでは一転して良馬場でのレースとなりましたが、ここでも直線早め先頭の正攻法で完全に勝ちパターンだったタイムフライヤーをただ1頭猛追し、ゴール前クビ差捉えて2連勝で重賞初制覇を達成しました。次走タイムフライヤーがホープフルSを1番人気で制したことから、必然的に同馬もGⅠ級の能力があることは間違いないと断言していいと思います。まだ京都2000mのみでのキャリア2戦ですが、全くと言っていいほど馬場状態が異なる2戦で結果を出し、実に11秒近くタイムを縮めた事実は高評価すべきポイントだと思います。まだ追って頭の高い面や、初の長距離輸送に左回りのコースなど不安要素が多いのも確かですが、同馬自身にも成長の余地が十分すぎるほど残っていることからここもアッサリ通過するようであればクラシック本番でも本命級の評価をしていい1頭だと思います。
② ステイフーリッシュ(牡3)
騎手:中谷 調教師:矢作(栗東)
主な勝鞍:ホープフルS(GⅠ)3着
前走のホープフルSでは新馬勝ち直後でのGⅠ挑戦に加えてデビュー戦から1000m通過が5秒近く速いペースでしたが、道中は後方追走から3コーナーを過ぎて勝ち馬タイムフライヤーと一緒にマクるように追い上げると直線坂を上ってからも長くいい脚を使って3着に好走し、GⅠでも好勝負できるだけの能力を自らの走りで証明しました。コースもペースも全く異なる適性の違う2レースで好走したのは同馬の持つセンスの高さの証明以外何物でもないでしょう。東京は初コースとなりますがデビュー戦で左回りの中京コースを経験しており、輸送競馬を既に経験済みなのも他馬にとって非常に有利となりそうです。デビュー戦では33秒台の末脚を使って快勝していることから瞬発力勝負になっても問題なさそうで、クラシックに向けて賞金加算が必須である今回はしっかり仕上げてくる可能性が高く、好勝負は間違いないのではないでしょうか。
③ ゴーフォザサミット(牡3)
騎手:田辺 調教師:藤沢和(美浦)
主な勝鞍:百日草特別(500万)
札幌でのデビュー戦ではやや余裕残しの馬体であった影響か中団追走から伸びきれずの5着でしたが、12キロ絞れた次走の未勝利戦では同じく中団追走から直線しっかり伸びての快勝でした。前走の百日草特別ではスローペースの中これまでとは一転してインコースから3番手に付ける積極的な競馬を見せると、初の左回りコースと長い直線も苦にせず切れ味は感じないもののジワジワと長くいい脚を使ってしっかり伸び、最内を伸びてきたナスノシンフォニー(ホープフルS5着)の追い上げを退けて連勝を飾りました。追われてからの反応はそれほど速くないものの、一旦加速すると非常に長い脚を使えるのは直線の長い東京コースにおいては大きな武器で、関東馬で輸送がないのもまだ未完成な部分が多い3歳馬同士においては大きなメリットと言えそうです。他の有力馬と比べて1戦多いキャリアの差を活かせればここで好走しても全く不思議ない存在だと思います。
④ サトノソルタス(牡3)
騎手:未定 調教師:堀(美浦)
主な勝鞍:新馬戦
強烈な雨が降り続き、過去を見ても例がないくらいの酷い不良馬場というデビュー戦を迎える馬にとっては可哀そうな条件で行われたデビュー戦ですが、好スタートから押して先手を主張して道中は2番手に控え、直線入り口ではM.デムーロ騎手の手が激しく動き外から上がってきた馬と馬体が接触する厳しい展開になりながらも坂を上ってもう一伸びすると、内から抜け出していた2着馬をゴール前ギリギリで捉えて単勝1.5倍の圧倒的1番人気に応えてデビュー勝ちを飾りました。道悪馬場を苦手とする産駒が多いディープインパクト産駒ながら不良馬場を克服して勝利したのは同馬の地力の高さを証明する意味でも非常に価値の高い勝利だったと思います。本質的に良馬場だともっと切れる脚を使える可能性が高く、今回と同じ舞台を勝利しているのはコース適性の面でも非常に有利で、もし出走してくるようであればまだ1勝馬ではありますが注目しておくべき存在だと思います。
《今年の共同通信杯を勝つのはこの馬!!》
ステイフーリッシュ(牡3)
前走:ホープフルS(GⅠ)8人気3着
父:ステイゴールド
母父:キングカメハメハ
前走のホープフルSでは後方待機策から4コーナーで勝ったタイムフライヤーとほぼ同じタイミングで動き出しながら直線仕掛けてからの反応の差で後れを取っての3着でしたが、これは勝ち馬とのキャリアの差と前走が非常に遅い流れだったのが影響した印象で、むしろキャリア1戦ながら勝ち馬相手に最後まで食い下がり、ゴール前では2着ジャンダルムを交わす勢いで伸びてきた精神力と対応力は同馬の能力の奥深さの証明となったのではないでしょうか。中京コースではありますが左回りを経験しているのはプラスで、スローペースでもハイペースでもメンバー中上位の上りが使える確実な末脚も直線の長い東京コースで最大限活きると思います。騎乗予定の中谷騎手にまだ重賞勝ち実績がないのが不安材料ではありますが同馬の騎乗時は2戦とも人気以上に走っているだけに、ここで人馬共に重賞初制覇を達成してクラシックへ臨んでいく未来を期待してみたいと思います。