2018年2月12日(月) 東京競馬11レース
第53回 クイーンカップ(GⅢ) 東京芝1600m
《クイーンカップ2018 レース展望》
クイーンカップと同条件のアルテミスS好走馬が近年阪神ジュベナイルFで軒並み好成績を残し、翌年の牝馬クラシック路線や古馬戦線でも好成績を残しているように、２～3歳時に東京1600ｍの重賞を好走できる馬は総合的な能力が高いと言ってもよさそうで、過去10年のクイーンカップの連対馬の中から08年1着リトルアマポーラ(エリザベス女王杯)、11年1着ホエールキャプチャ(ヴィクトリアマイル)、12年1着ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル)、15年2着ミッキークイーン(オークス、秋華賞)、16年1着メジャーエンブレム(NHKマイルC)、そして昨年2着アエロリット(NHKマイルC)と6頭のGⅠ馬を出しているのが何よりの証明と言えるでしょう。さらに昨年は4着レーヌミノルも後に桜花賞を制し、勝ったアドマイヤミヤビも故障によって3歳秋という非常に速い時期に引退してしまいましたがオークスでソウルスターリング、モズカッチャンに次ぐ3着とGⅠ級の能力を有した馬であったことから、近年は出走馬のレベルの向上が著しく桜花賞を占う意味でもチューリップ賞と並んで非常に重要なレースと言っても問題ないと思います。特にこの段階で賞金的にクラシックへの出走をさせた馬は桜花賞・オークスに向けて余裕を持ったローテーションを組むことができるといった意味からも、ここでの好走馬は長い目で注目しておく必要がありそうですね。今年も既に重賞で好走実績があるマウレア、ツヅミモン、レッドベルローズといった馬たちに加えて前走新馬・未勝利戦で素質を感じさせる勝ち方をした馬も多く、この中から後のGⅠ馬や重賞馬を早い段階から見つけることができる『相馬眼』を鍛える意味でも非常に注目度の高いレースとなるのは間違いないと思います。
《クイーンカップ2018 予想オッズ》
①人気 マウレア 2.2倍
②人気 ツヅミモン 5.3倍
③人気 レッドベルローズ 5.4倍
④人気 オハナ 6.8倍
⑤人気 フィニフティ 8.1倍
⑥人気 ソシアルクラブ 13.6倍
⑦人気 テトラドラクマ 16.7倍
⑧人気 アルーシャ 20.3倍
⑨人気 ハトホル 84.1倍
⑩人気 ナラトゥリス 88.9倍
《クイーンカップ2018 出走予定馬分析》
① マウレア(牝3)
騎手：戸崎 調教師：手塚(美浦)
主な勝鞍：赤松賞(500万)
阪神ジュベナイルF(GⅠ)3着
前走の阪神ジュベナイルFではスタートからある程度押っ付けながらの追走で勝ったラッキーライラックとほぼ同じ位置の中団インからレースを進める形となりましたが、直線を向いてスムーズに前が開いたラッキーライラックに対して同馬は前が壁になって完全に仕掛けが遅れ、坂を上ってから外に出して猛追しますが先に抜け出していた2頭には届かずの3着でした。ただゴール前は一番いい脚を使って伸びており4着以下は突き放していることからも、現3歳牝馬路線の中でもトップクラスに属する能力があるのは間違いないでしょう。瞬間的な加速力はそれほど速くないものの追って非常に長くいい脚が使えるタイプで東京の長い直線は絶好の舞台と言えそうだけに、桜花賞に向けて賞金加算が絶対の今回はしっかり仕上げてくる可能性が高く、優勝候補筆頭の1頭だと思います。
② ツヅミモン(牝3)
騎手：M.デムーロ 調教師：藤岡健(栗東)
主な勝鞍：シンザン記念(GⅢ)2着
前走のシンザン記念ではキャリア1戦で初めて経験する道悪馬場に加えて牡馬混合重賞と厳しい条件が揃ってのレースでしたが、好スタートから二の脚速くほぼ持ったままハナを奪い、3コーナー手前でカシアスが先手を主張してくると2番手でしっかりと折り合って直線を向くと激しい叩き合いを制して残り200ｍを切って先頭に立ち、外から次元の違う脚で伸びてきたアーモンドアイには屈したものの他馬はキッチリ完封しての強い2着でした。デビュー戦とは全く異なる厳しい条件にもアッサリ適応し牡馬相手に2着に好走した総合能力の高さは今回のメンバーの中でもトップクラスだと思います。過去に牝馬ながらシンザン記念で3着以内に好走した馬は全て桜花賞を勝利していることからも同馬がGⅠ級の能力を有している可能性は極めて高く、今回早々とM.デムーロ騎手を確保したことからも陣営の本気度が伺えます。輸送競馬を既に経験済みなのも大きく、初の左回りさえ克服できれば勝ち負けの可能性が非常に高い1頭だと思います。
③ レッドベルローズ(牝3)
騎手：福永 調教師：鹿戸(美浦)
主な勝鞍：フェアリーS(GⅢ)3着
前走のフェアリーSでは中山1600mにおいて不利とされる外枠を引いたことに加えてスタートで立ち遅れて行き脚が付かず後方からの競馬を余儀なくされましたが、3コーナー過ぎた辺りから蛯名騎手の激しいアクションに応えてマクリ気味にポジションを上げると直線も大外から非常に長くいい脚を使って先に抜け出していた前2頭に追いすがり、ゴール前では一番いい脚を使っての内容の濃い3着でした。デビュー戦でも直線の長い東京コースで4コーナー辺りから仕掛けつつも最後までしっかり伸びており、非常に息の長い確実な末脚は同馬の持つ大きな才能だと思います。これまで2戦ともスタートで行き脚が付かず後方からの競馬になっているのはやや不安材料ではありますが、関東馬で長距離輸送がないのはこの時期の繊細な3歳牝馬においては大きなメリットと言えそうで、同じ舞台でデビュー勝ちしているコース適性を活かせればアッサリ勝利しても全く不思議ない1頭だと思います。
④ ソシアルクラブ(牝3)
騎手：岩田 調教師：池添学(栗東)
主な勝鞍：新馬戦
デビュー戦ではスタートで行き脚が付かずに後方からの競馬となり、さらに道中はスローペースの中行きたがるのをなだめつつ後方馬群を追走する厳しい形となりましたが、直線岩田騎手が馬群を捌いて大外に持ち出すと一気に加速しメンバー中最速の末脚でゴール前捉えてデビュー勝ちを飾りました。前走の阪神ジュベナイルFでは同じように後方から末脚に賭ける競馬で上位には離されての8着でしたが自分の脚はしっかりと使っており、キャリア2戦目であることを考えれば及第点の内容と言えそうです。名品ブエナビスタ×キングカメハメハという超良血でデビュー戦の内容から潜在的な能力が高いのは間違いなく、母の背も知る岩田騎手が騎乗予定なのも好材料で、条件戦ではなくここでも重賞にぶつけてくる陣営の期待度の大きさも加味した上で注目の1頭と言えそうですね。
《今年のクイーンカップを勝つのはこの馬！！》
マウレア(牝3)
前走：阪神ジュベナイルF(GⅠ)4人気3着
父：ディープインパクト
母父：Storm Cat
まず最初に昨年の阪神ジュベナイルFの上位3頭はかなりのハイレベルで、同馬も3着ながら勝ったラッキーライラック、2着のリリーノーブルと互角以上の能力があるのは間違いないと思います。特にスムーズな競馬だった上位2頭に対して道中やや行きっぷりが悪く、直線も仕掛けを待たされるなどスムーズさを欠く競馬だったにもかかわらず前2頭を追い詰めたレース内容は同馬の能力の高さの証明であると同時にこれからの伸びしろの大きさを示したものだったのではないでしょうか。東京1600ｍで2戦2勝のコース実績は今回のメンバーの中では非常に有利で、昨年同じディープインパクト×Storm Catといった血統背景を持つフローレスマジックが3着に好走したのも同馬にとっては大きな追い風だと思います。年が明けてからアーモンドアイやプリモシーンなど重賞で強い勝ち方を見せた馬も目立ちますが、桜花賞を盛り上げる意味でもここで貫録を感じさせる強い勝ち方で桜花賞に向かうことを期待して本命評価にしたいと思います。
